【ヘレン・ミレンの熱演「黄金のアデーレ 名画の帰還」】
2015年 12月 13日
予告を何回も見たので、是非本編も見なくてはと思いつつ、なかなか時間が合わなかったのですが、思い切って見に行きました。なかなか良く出来た秀作です。
もっとも、私はこの事件?クリムトのWoman in gold を当時在ロサンゼルスの老婦人がウィーンのベルベデーレ宮殿から取り返したというニュースは知りませんでした。
実話に基づく映画だそうで、知らなかっただけにびっくりしました。
公式サイトです; 黄金のアデーレ 名画の帰還
このクリムトの名作のモデルは、主人公マリア・アルトマンの実の伯母にあたるそうです。
伯母さんは第二次大戦終結前に亡くなり、ナチがウィーンに侵攻してきた時にこの絵は家から強奪され、ベルベデーレ宮殿に飾られたのだそうです。
この一家は勿論ユダヤ人なので、迫害されて主人公は夫と共にアメリカに脱出して命を取り留めました。
オーストリアはナチの侵攻を受け入れて、ユダヤ人を迫害した過去があります。
ベルベデーレ美術館での展示はアデーレ伯母さんの遺言書「夫が亡くなったらベルベデーレに寄贈する」を基にマリアの相続財産返還請求を却下していました。
しかし、アデーレの夫は財産をマリア姉妹に全部残すという遺言を残したために、マリアはクリムトの絵を相続する権利があると主張します。
オーストリーにしても、ウィーンのモナリザと呼ばれる名画をマリアに返す気持ちはさらさらないので、色々な訴訟になって、最後にマリアの所有権が認められてアメリカへと海を渡るという実話なのだそうです。
マリアはその絵を美術館に飾るという条件でエステー・ローダーの息子に高額で譲り、受け取ったお金は親族にあげたり寄付をしたりして、自分では一切使わなかったとしめくくってありました。
ユダヤ人だからという理由だけでひどい目にあった過去を許せないマリア。
二度とウィーンには行かないと決心していたのに、絵のためにウィーンに赴くことになります。
楽しかった過去と辛かった過去が映画の中でも交錯します。
ウィーンの住民はホロコーストのことなんてもう忘れた方がいい!!と脅したりします。
過去は随分と遠くなりましたが、身内に起こった悲劇は忘れることはできないでしょう。
絵を取り返すというのも、むごい目にあった自分たちへの癒しなのか、むごい目にあわせたものへの仕返しなのか、様々な気持ちが入り混じるのでしょうね。
ただ、最後にアメリカに持ってきて、売り払うというのが、さすがユダヤ人だなと思いました。
補償金を受け取り、ウィーンにそのまま置いておくことはしなかったのですね。
マリアの精一杯の気持ちなのでしょうね。
ヘレン・ミレンがドイツ語なまり風の英語をしゃべって、大熱延でした。
やはりこの方の映画は安心して見られますね。
マリアを助ける駆出し弁護士も著名な祖父シェーンベルクの両親が犠牲になった収容所の名前を見て号泣します。その時に本気でマリアを応援しようと決心したようです。
この弁護士さんがなかなかの好演で、良かったですね~
弁護士事務所をやめてまで、この訴訟にかかわり、身重の奥さんも応援する姿がなかなか感動的でした。
マリアの記憶として挿入される、過去のウィーンの街やナチの侵攻を大歓迎するウィーン市民の様子、マリアの楽しかった頃の様子なども、映画のストーリーのアクセントとマリアの気持ちの裏付けとなっていて、印象的でした。結婚式のパーティーが楽しそうで、彼女の最高に幸せな1日だったのだろうと思いました。
ユダヤ人であるだけで、迫害された過去の記憶があるのに、今のイスラエルはそこから何も得ていないように思えます。やられたことはやらないのではなくて、やられたことを他の人たちにやり返して気持ちを鎮めているかのようで、ずっと悲しい第二次大戦後の中東です。
今の中東のごたごたも、元をただすと、いい加減な態度で右往左往したイギリスのせいだと言う人もあり、問題の根本的な解決は振出に戻ることなのかとも思ったりします。
個人的には、ややこしい他所の国のごたごたに巻き込まれるのはまっぴらごめん。
ですが、そういう訳にもいかない21世紀なのでしょうね。
目指せヘレンミレンですが、あんなに美形ではありませんので、勢いつけてのスローガンです。大笑い。
なかなかよく出来た秀作です。
ロスも舞台ですので、是非ご覧くださいませ!!
原題はWoman in gold です。
ヘレンミレンはとにかく演技が秀逸ですよね!!
女王の時はそれらしく、迫害されたユダヤ人の時はそれらしく、
唸ってしまいます。
是非美形の方も、目指せヘレンミレンでGOGOGO!!
白玉様はエネルギッシュだなあ^^
007だけは劇場に見に行こう。
>DVD DVDで充分だと思いますが、秀作なので、是非ご覧下さいませ^^
>007 IMAXで見るか普通のスクリーンにするか、悩んでいます。
プーチン風ボンドを見に行かなくてはww