【「筆子その愛ー天使のピアノー」】
2007年 03月 07日
「公式サイト」 ←ストーリー・キャスト・スタッフなどはこちらでどうぞ!
いや、私は初めて知ることばかりで、この映画を見て驚きました。
日本で初めての知的障害者の施設「滝乃川学園」を作った石井夫妻、特に夫人の筆子さんにスポットをあてた映画です。
筆子夫人は長崎県大村の出身で当時の皇后の下命でヨーロッパに留学し、帰国後は華族女学校で英語の津田梅子と共にフランス語を教えた才媛なのだそうです。結婚後に誕生した3人の娘のうちに知的障害があり、そのことから、女子教育から障害児教育へと自身の教育者としての視点を変えていきます。
とにかく、明治大正という時代が背景ですから、「よけいもの」としてしか扱われず、座敷牢に閉じ込められたり、人間扱いを受けていなかった障害児に教育を与えて自立への道へ導くという、当時としては並大抵ではない苦労をされた、いわば偉人伝です。
鹿鳴館の華といわれた美人なのに、今まで名前を聞いたことがありませんでした。やはり偏見もあったのでしょうね。知る人ぞ知る、苦難の道を映画化して、この人のことを世に問いかけ知らしめていただいたのは、実に良いことだと思いました。
石井ご夫妻がいなければ、日本の障害児教育は戦後まで進展を見なかったであろうと書かれています。それほど、理解もなければ、展望もなかったわけです。
火事に見舞われたり、戦時中の物資不足の折などには知恵遅れのよけい者に食べさせる物はないとばかりに配給の遅配があり、栄養障害で何人もが亡くなったとのナレーションには涙が出ました。ひどい国なんだよね~日本って。戦争に負けてよかったんだわ。
石井夫妻の「滝乃川学園」もキリスト教(聖公会)がバックボーンになっていますが、社会福祉関係は戦前は国家は知らん振りで宗教関係の篤志家まかせだったのでしょうか?もっとも筆子夫人の人脈で皇室(貞明皇后が教え子)や財界(渋沢栄一が応援)などからの支援はあったようです。
明治や大正よりは今の方が環境は整っているのでしょうが、考え方はどうなのでしょうね。「よけいもの」扱いはさほど変わっていないのじゃないのかな、と少し心が暗くなりました。
国を挙げて差別をなくそうと努力はしていますから。
日本はどんどん弱者に厳しい国になっていっているように思います。
死ぬときに、この国の国民でよかったなぁと思えるといいんですが、今の施策を見ていると、そんな気分になれそうにないですもん。
私も石井筆子さんという女性については、映画を見るまで全く知識がありませんでした。津田梅子と同時代を生きた女性なのに、あまりにも知られていないのは寂しく思いました。
>障害者教育 この点に関してはアメリカは数km先を行っているように思います。そもそも石井先生はアメリカで障害者教育を学んで(2回も渡航)それを元に学園を始められたそうで、お手本になっているようです。
本当に最近の格差社会を作り上げようとしているかのような、政策には本当にがっかりです。障害者に対しても今は差別(表はなくても裏はね)程度ですが、明治の頃なんて、差別というより迫害ですものね。ひどい国ですよ。理解して共生するという立場はまるでないみたい。
>よけいもの え~と「やっかいもの」と言っていたかもしれません。どちらにせよ、人間扱いはされていなかった時代のようでした。
>ジロジロ そうですね。少しは人間並みの扱いに進歩はしたのでしょうか。アメリカと比べると日本は障害者にとってもストレスがきつくて住みにくい所だと前に見た映画でも言っていましたね。どうしてこんなストレス満載の社会なんでしょう?人口密度が高すぎるのかしら?