【アンドリュー・ワイエスー創造への道程】
2008年 11月 27日
紅葉見物に出かけたかったのですが、しょうがないので渋谷に出ました。
Bunkamuraのザ・ミュージアムで「アンドリュー・ワイエス」展を開催中だからです。
勿論!
誰でも知っている「クリスティーナの世界」はありませんから、、、
ただし習作は何点か出ていましたので、ご安心のほどを。
それよりも何よりも、無知蒙昧な私はこのピンクのドレスの女性クリスティーナが何をしているのか全く知らなかったのです。何か意味のあるポーズだとばかり思っていました。
クリスティーナはワイエスの別荘のあるメイン州に住まうオルソン姉弟の姉ですが、生まれつき手足が不自由で歩くことが出来ないのだそうです。それでも人の手を借りずに自分で出来ることは何でもするという意志の強い女性だったそうです。
このシーンもたまたまワイエスが見かけた、クリスティーナがブルーベリー畑から家までこういうスタイルでひとりで帰ろうとする場面がヒントになったそうです。
クリスティーナは明るく弟のアルヴァロは暗い頑固な性格だったそうです。
クリスティーナはその障害にもめげず、花を育て猫を可愛がる優しい女性だったとか。
ピンクのドレスはクリスティーナの女らしい優しさ明るさを表現しているのだそうです。
家ははるか彼方遠くにあるように見えます。
クリスティーナの家は遠い。
それでも彼女はいざりながらひとりで家を目指すのです。
事情を知るとこの絵が与えた感動が少しわかったような気になりました。
今回の展覧会で一番印象に残ったのは出品されていないこの絵の事実だというのは、ちょっと皮肉だったなと思いました。
Wikipedia:「Andrew Wyeth」
Wikipedia:「Christina's World」
日本語のウィキーにはクリスティーナの手足が不自由な理由をポリオによるものと記載してあります。会場の説明では生まれつきと言っていました。変だなと思ったら英語版に「ポリオのような」となっているのでそのせいでしょうか?ポリオによるものだったら生まれつきということはないからおかしいなと思いました。
今年91歳になられたワイエスさんは健在で、ビデオインタビューが会場に流されていました。
子どもの頃は虚弱で学校にもろくに行けなかったそうですが、やはり絵描きさんが長生きというのは証明されたようです。
この写真はブッシュ大統領にメダルをもらった時のものですが、
ブッシュが気に入らないのか半分カットされたものがウィキーにあったので勝手に借りました(笑
ビデオもこのままの感じでしたよ。
【火打石】
展示会は年代順に紹介されていて、私のようにワイエスのことを何も知らない(健在だということすら知りませんでした)シロートにも非常にわかりやすく、良い展覧会だと思います。
1つの絵にだいたい2~3点の習作が一緒に展示されていて、完成までの道のりをたどることができます。
この海辺の岩の絵も最初は上にカモメが止まっていました。
そぎ落とされて最後は生き物はナシで完成。
【ガニング・ロックス】
地名が題名になっていますが、習作を重ねるうちに背景がなくなって人物だけになりました。
風景画がほとんどですが、肖像画?人間を描いたものが非常に印象的です。
顔の表情というのか、深い皺というのか、その人のたどった人生が全部現れているかのようでした。もう1枚あったワイエス夫人のお友達の肖像も印象に残りました。
こんがらがってしまい自信がありませんが、↑ のモデルのお嬢さんではないのかなと思います。30年間書き続けたオルソン姉弟が亡くなった後、このお嬢さんがしばらくモデルになったようです。彼女を知ってから本格的な裸体画をてがけるようになったそうです。
薄暗い学校の中で窓際で外を眺める白い裸体が明るく心に残ります。
これは最後の方にあった絵だと思います。
ガレージから見た外の様子だそうです。
三日月がクリスマスツリーの隣に大きく描かれています。
絵葉書の中からほんの少し紹介しましたが、ご覧のとおりに色調は暗いです。
会場にいた方も「暗いわね」と、呟いていました。
この暗さは何なのでしょうね?
荒涼とか寂寞という言葉が思い浮かびます。
誰の心の中にも潜む暗いもの、寂しいもの、辛いもの、そういう表現なのかと思ったり、
見当違いなのかな?と、思ったり。
とにかく、精緻に描きこまれた絵は間近で見るとその細かさには仰天します。
リアリストの画家と称される由縁なのでしょうね。
「クリスティーナの世界」は沢山の習作でしか見られませんが、その他にも自画像、幻影などの若い頃の作品、も印象的でした。もっとも傾向はずっと変わらず、若い頃も1980年の絵も同じに見えます。確立したスタイルは変える必要もなかったのでしょうね。
さほど混んでもいなかったので、じっくりと眺めることが出来てとても有意義な時間でした。
外に出ると「三日月」の絵にあるようなクリスマスツリーが通りを飾っていました。
でも、この絵はないのね。
そちらは早くから雨でしたか?
ここは6時ごろからだったので、ラッキーでした。
自転車で一日うろうろしてたから…。
おうちは見えるのになかなか着かないというのは
悲しい気分ですね。疲れていると尚更。
小学生の時に遠かった所がいつのまにか
近くに感じるようになった時も不思議な気分でした。
クリスティーヌはMOMA所蔵ですから、
きっとご覧になっているのでしょう。
私も確認したら(笑)MOMAで見たそうです←記憶が曖昧
雨は午後からと予定していたのに、9時前から
降り始めてガッカリコンでした。
七里ガ浜に行きたかったのに、、、(><;)
そして、どことなく切なげな絵画
genova様の細かい解りやすい解説で
きっちりと勉強させて頂き候
しかし、genovaさんの知識の深さには感心です!
ワタクシが一生かけても 食べれなぃ程の数々のスゥィーツ☆
こちらもため息ものです↓が^^v
やさしいきもちにさせられる1枚ですね
genovaさんの解説で状況がわかって・・・なるほど、やさしい中に毅然としたものが感じられる道理だわ!っト変に納得
ワイエスさんしらなかったので、いいお勉強になりました!ありがと~~ございます。
家のほうでは、まだまだ、接続加減がブツブツだらけで、なかなか書き込みもできましぇ~~ん。トホホホッホ
ひえ~・・
とんでもないです^^;(大汗
会場の解説を聞くまで何も知らなかった私ですから~・・
もっと書きたいことはありますが、長くなるので
つまらないでしょうからやめました(笑
なかなか個性的な画家さんのようですよ。
ここを描こうと決めたら30年単位のようで、、、^^;
91歳でお元気で何よりでした。
甘いものは葉月さまの一生分をひと月位で
食べている感じでしょうか~?(爆
私も解説を聞くまで(読むのがメンドーなので500円のヘッドホン解説です。あれは便利w)クリスティーナのことも何もかも知らなかったので、かなり衝撃的でした。
今回は来なかったこの絵がやはり一番印象的な代表作のようです。
PC問題が早く解決しますように。
時々つながるというのは精神衛生に悪そうですね。
どうぞママさん、お大事に~~~
コメント有難うございました^^
なるほど、クリスティーナの世界はMoMAの秘蔵子なのですね。
アメリカ現代美術の代表作品という位置づけなのでしょうか。
私は不勉強でふらっと立ち寄っただけですが、
今まで知らなかったワイエスの世界を垣間見たような
気分で、とても良い展覧会だと思いました。
習作が沢山並んでいて、完成への道のりがわかるのも
非常に良いアイデアですよね。